ライブツアー業界をリードするサウンドスペシャリストであるRat Soundは、今年春に開催されたコーチェラ・ヴァレー・ミュージック・アンド・アーツ・フェスティバルと、それに続くステージコーチ・フェスティバルにて、AudinateによるDanteオーディオネットワークを導入しました。750 x 1200フィートという広大なエリアをカバーするため、会場内には21箇所のディレイ・ポジション(ステージから遠い観客に音を届けるための補助スピーカー)が設けられました。「各ディレイ・ポジションに間違いなく良い音を届けるPAを迅速に設置しなければならない」この課題に直面したRat SoundはDanteネットワークを選びました。設置作業のコスト削減だけでなく、Dante Audio over IPソリューションは、この名高い音楽フェスティバルで格別なパフォーマンスを実現しました。 毎年4月に2週連続で週末に開催されるこのフェスティバルには200名を超えるアーティストが参加し、数十万人のファンが、カリフォルニア州の熱い地にやってきます。

21箇所のディレイ・ポジションが、メインのコーチェラ・フェスティバルステージと近くのアウトドア・シアターステージの間で振り分けられ、Dante対応のYamahaデジタルミキシングエンジン、またLake LM44デジタルオーディオプロセッサがこのデジタルオーディオアーキテクチャーをサポートしました。Rat Soundチームは、様々なサウンドタワー間のケーブル接続インフラストラクチャを簡素化するために、Cat5ケーブル上において、左、右、VIPの3つのオーディオチャンネルをサポートしたネットワークを構築しました。

コーチェラ・フェスティバルのフルタイムのシステムエンジニア、フロント・オブ・ハウステクニシャンのTom Worley氏によると、Rat SoundはDanteを使用して3年になり、大規模な空間においてのネットワークでの信頼性とその対応能力は証明されていると述べています。

「Audio over IPソリューションとして、Danteは10万人を超えるオーディエンスに音を届けるコスト効率の高い効果的な方法です」と、Worley氏は述べています。「また、ディレイ・ポジション間の距離を考えると、Danteは最良の選択です。ステージ間の距離が近いのですが、Danteなら、ディレイシステムが他のオーディエンスエリアに影響を及ぼすことはありません」

Rat Soundによる機材構成には、フェスティバルコンソール、ゲストコンソールが組み込まれ、それぞれが2台のYamaha DME64Nデジタルミキサーによりフロント・オブ・ハウスよりコントロールされ、さらにDME64NはAES、アナログ、Danteの出力を24以上の場所にルーティングし、搭載されたMY16-AUD Danteカードは第1、第2オーディオパスとして最適なリダンダント接続を実現します。各ディレイリングのセンターには標準のマネージドスイッチを追加し、Danteオーディオとアンプコントロールシステムのネットワークを構築しました。Lake LM44プロセッサはDanteオーディオをディレイシステムのアンプへ送信するためにAESに変換し、さらに全てのディレイリングと追加の送信先ポイント間がデイジーチェーン接続されています。

さらにWorley氏は、容易な設定をはじめ、シンプルな設置、運用、また、必要に応じて柔軟にネットワークパラメータの再構成ができることをDanteの特長として挙げています。

「すべてのディレイシステムとインフラストラクチャの設置は1日で完了し、さらにネットワーク全体のタイムアライメントと ディレイの微調整を行える貴重な時間がありました」と、Worley氏は述べています。「どちらのフェスティバルでも構成は固定されたものでしたが、バンドのリクエストによっては、Danteを使用してステレオディレイシステムを素早く構成することもできたのです。ネットワーク上のどこへでもオーディオをルーティングできる柔軟性により、フェスティバル会場において最大限にコントロールすることができました。

「しかし、Danteを活用する上での最大のメリットの1つとして、ネットワーク上でのオーディオ品質とヘッドルームが挙げられます」と、彼は続けます。 「Danteにより、非常にクリアかつ低レイテンシーのオーディオををアンプに届けることができました。さらに、これは世界に誇る大規模のフェスティバルにおいて必要とされる柔軟性とリダンダンシーにも応えるものでした。