カナダ出身の照明デザイナーChris Moylan氏は約5年にわたりTUI Cruisesでの照明デザインに携わっています。TUI Cruisesでのすべてのショーのチーフ照明デザイナーであるだけでなく、Mein Schiff 3とMein Schiff 4のエンターテイメント・ライティング・システムの設計者でもあります。

TUI Cruisesのショーはすべてインハウスです。シアターのステージはモジュール性の高い多様性のある設計がなされており、さらにMAライティングコンソール、Cooluxメディアサーバー、MartinやRobeといった、優れたメーカーの製品が集約されています。

TUI Cruisesでは、2016年に新たにMein Schiff 5が就航し、これに続いてMein Schiff 8まで、毎年新しい客船が登場します。

TUI Cruisesのサウンドデザイナー兼テクニカルディレクターであるTorsten Hirche氏はこう述べています。「クルーズ客船企業は競合他社と差別化を図るため、常に新しい『サプライズ』を求めています。また、多目的に利用できることも重要です。船の空間は限られています。ですからデザイナーはしばしば1つのスペースが多目的で使用できるものとなるように努力します。例えばKlanghausルームでは、常設のオーディオモデリングシステムにより、クラシック音楽の生演奏をオペラハウスのような音質で楽しむことができます。その数時間後にはアクターによるライブショーが催され、夜にはラウンジ、あるいは映画館となり、翌朝には次の停泊地を紹介するプレゼンテーション会場となります。これらが全部、1つの部屋で行われるのです!

「ステージの照明、ビデオ、サウンド、そしてキネティクス技術の面で、私たちは最前線にいます。私たちはMartin Audioのスピーカー(TUIの2隻の新造船Mein Schiff 3およびMein Schiff 4のデッキ15層にわたって主要エリアに設置、MLAシステムの客船への採用例としては初)、MC2アンプ、XTAプロセッシング、そしてDiGiCoコンソールを採用しています」

多様なイベントへの対応が迫られるスペースには、オールインワン型プレゼンテーションスイッチャー/スケーラーの人気も高まっています。また、DanteといったIP経由のAVトランスポートの採用も増えています。船の規模が大きくなり、それにつれて必要な帯域幅も増していく中、ファイバーベースの技術の使用コストが下がっていることも重要な要素です。

NEDの主任オーディオデザイン・コンサルタントであるAlan Edwards氏は次にように述べています。「AudinateによるDanteをはじめ、より高速なネットワーク用の新しいプロトコルの開発により、施設間での双方向オーディオディストリビューションが容易に導入できるようになってきました。さらに最近ではWiFi機器を使用した、AV機器のローカル、あるいはリモートでのコントロールが一般的になってきました」

Costa Crociere・エグゼクティブ・テクニカル・アーティスティックスペシャリストであるPaolo Campanelli氏によると、Costa CrociereにおいてもAVテクノロジーへの投資が伸びていると述べています。