背景

ウィロー・クリーク・コミュニティ教会は、シカゴに7つの施設を持つ、宗派を超えたキリスト教コミュニティです。イリノイ州サウス・バーリントンに位置する教会は1981年に設立され、他の6か所のサテライト施設にビデオ・オーディオコンテンツを配信する主要拠点となっています。

サウス・バーリントンの教会において、ウィロー・クリークのスタッフは大規模な技術的な転換を進めています。転換の核となるのが、AudinateによるDanteネットワークです。Danteネットワークが敷地内にある4つの施設間においての複数のオーディオチャンネルのルーティング、ディストリビューション、および管理を簡素化します。

課題

設計段階においてウィロー・クリークチームは、毎週訪れる信徒約20,000人への高音質なオーディオ、特にライブミュージックパフォーマンス、および講話の高いレベルでのディストリビューションにおける課題の解決を目指しました。これらのイベントは7200席のメイン講堂で行われます。そこで、地上階から、中二階、さらに上階のバルコニーにいたるまで、高いクオリティで音が届くようにすることがまず求められました。

また、礼拝、会議、宗教講話、ライブパフォーマンスなどに使用されるアクティビティセンターなどの大規模な多目的スペースにおいても、オーディオ配信を、高品質を維持したまま受信できることが求められました。プロジェクトの規模と範囲を考えると、アナログケーブルとパッチパネルを使用した従来の方法では、コストおよび時間がかかり、作業が複雑になることは明らかでした。

ソリューション

ウィロー・クリーク・コミュニティ教会のオーディオシステムエンジニアであるMatt Wentz氏は、デジタルオーディオネットワークが、このスケールのシステム施工の作業量およびコストの問題に対処できると考えました。Wentz氏にとって、Danteはニーズに対応できる唯一かつ最適なソリューションだったのです。

「他のネットワークソリューションは全く検討しませんでした。Danteしかない。即座に思い浮かんだのはDanteでした」Wentz氏はこう述べています。「どの部屋からでも、どの部屋へも接続できる、これほど柔軟にオーディオをルーティングできるネットワークソリューションは、他にありません。また、多くのオーディオ機器メーカーがDante技術を採用していることから、シームレスなネットワーク構成の可能性を広げています」

Danteの導入により、ウィロー・クリーク・コミュニティは5つの会場で標準的なITネットワーク、および軽量・低コストのCat6ケーブル接続を活用することができ、オーディオネットワークの構築にかかるコストや労力を大幅に削減することができました。 

Danteネットワークは、メイン講堂の94フィートのステージに向かい合うフロント・オブ・ハウスエリアを中心に広がり、フロント・オブ・ハウスに据えられたYamaha PM1Dコンソールに入出力チャンネルが集まります。キャパシティの大きなDanteアーキテクチャーをメイン講堂に備えることにより、ステージからの160本のオーディオ入力など、多様な音源、また極めて多数のワイヤレスマイクやインイヤーモニターを使用できるようになりました。フロント・オブ・ハウスのミキサーの出力は、Danteに対応したBSS London Blu-806シグナルプロセッサーによってデジタル信号に変換されます。その信号はDante信号としてDanteネットワークを介してラウドスピーカー・マネージメントシステムへと送信されます。それを、さらに別のBSS London Blu-806ユニットがAES/EBUに再変換して、3階建ての講堂に音を届けるPAシステムおよびモニターへと出力します。

ネットワークは、レイクサイド講堂、アクティビティセンター、チャペルを含む教会の4つの会場に接続され、それぞれの会場は、Danteに対応したCat6接続、およびYamahaデジタルオーディオミキサーによる環境が構築されています。Danteは4つの施設間において効率的かつ信頼性の高いオーディオルーティングを実現します。施設間の接続は光ファイバーネットワーク、集中管理型のCisco SG-300ファイバースイッチ、Auvitran Audio Toolbox (7枚のAxCDanteカードを追加) により構成されています。アクティビティセンターのシステムは、Danteカードを装備した48チャンネルYamaha M7CLデジタルミキシングコンソール、およびYamaha QLコンソールを備え、チャペルおよびレイクサイドの施設においてはYamaha CLコンソールを使用しています。Danteカードは、ミキサーの出力を変換し、Danteネットワークとシームレスに連携できるインターフェイスを実現します。 

Wentz氏は、Danteカードを追加するだけでチャンネル数を増やせることも特長として挙げています。この柔軟性はすなわち拡張性であり、Danteネットワークが簡単に管理できることを表しています。

「従来のアナログ環境では、各部屋のルーティングやネットワークの構成を変更するのは簡単ではありませんでした」と、Wentz氏は述べています。「私たちは一度立ち止まり、最良のシグナルパスについて考え、テストする必要がありました。Danteプリセットをリコールすることで、その部屋はあらゆる新しい設定に応じて自動で再構成されます。一貫性の面では、Danteのマトリクスレイアウトは非常に直感的に使用できるツールであると言えます。 何かをパッチすると、動作状態がOKであることがすぐに通知されます。オーディオの送受信を確認できる場所がいくつもあり、これは大きな特長です。Dante Controllerは、サウス・バーリントンの4つの礼拝施設における、優先セットアップを記憶するプリセットを含んだスマートな機能により、大幅に時間が節約できます。 Danteにより、実に素晴らしい柔軟性と一貫性が実現します」

サウス・バーリントンの超大型の教会に加え、ウィロー・クリーク・コミュニティ教会には、ハントリー、クリスタルレイク、ノースショア、ウィートン、シカゴ・ダウンタウンの大型の教会があります。ウィートンの大型の教会はDanteネットワークに移行した最初の教会であり、他の施設がこれに続きました。  さらに、Wentz氏は今後発表されるAudinateのDante Viaソフトウェアを一部の施設に導入し、彼によれば「コンピュータからコンピュータへ、すべてをデジタルで管理」するオーディオルーティングによりインフラストラクチャを軽減することを目指しています。

特長

  • ネットワーク上のあらゆる場所から場所へオーディオルーティングが可能な柔軟性
  • 標準的なITネットワークおよび、軽量、低コストのCat6ケーブル接続を活用することが可能
  • マルチチャンネルサポートにより、4つの施設間での多チャンネルの信号のやりとりが可能
  • ケーブル数を減らし、必要な作業も軽減することより総コストの削減を実現
  • 将来のニーズにも対応できるDanteネットワークの限りない拡張性